Archive for 15 December 2005
15 December
Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 29
She started up with a cry, and saw the boy, and somehow she knew at once that he was Peter Pan. If you or I or Wendy had been there we should have seen that he was very like Mrs. Darling's kiss. He was a lovely boy, clad in skeleton leaves and the juices that ooze out of trees but the most entrancing thing about him was that he had all his first teeth. When he saw she was a grown-up, he gnashed the little pearls at her.
ダーリング夫人は叫び声をあげて眼を醒ましました。そして、何故か一目でそれがピーターだと分かりました。もしもあなたか私かウェンディがそこにいたならば、私達は、ピーターがダーリング夫人のキスにとてもよく似ていることが分かったでしょう。ピーターは素敵な見栄えの少年で、枯れ葉と樹木からしみ出る樹液を見にまとっていました。けれども最もピーターの魅力的なところはと言えば、ピーターが全ての乳歯をまだ持っていることでした。ダーリング夫人が大人であることが分かると、ピーターは小さな真珠のような歯を噛み締めて、しかめ面をしました。
ピーターに関する様々の特徴的な要素がここに語られている、お母さんは直観の力でピーターを同定する。またピーターは彼特有の直観力で、全ての難事を切り抜けることができるのである。ピーターの視覚化された最も特徴的な部分としてあげられているのが、この場面で語られている乳歯であるが、これらが実際に確かに視認することができるものであるかどうかについては疑問もある。むしろ言葉のペテン行為、具現化することが不可能な対象を記述する観念遊戯として理解した方が興味深いかもしれない。
用語メモ
kiss(キス):ピーターの存在に関わる謎として、彼のお母さんのキスに対する類似が語られている。ピーターの示す大人達に対する不可解な敵意と合わせて、ピーターという存在を規定する基幹的な条件となっている事実である。
「ミクシィ」でコミュニティ「アンチ・ファンタシー」を開設しました。
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◆ ピーター・ビーグルに関する書誌データを公開中です。
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参加希望の方は、以下のアドレスにご連絡下さい。招待メールをお送りします。
kuroda@wayo.ac.jp
メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/
論文、“アンチ・ファンタシーというファンタシー2:ファンタシーにおける非在性のレトリック─『最後のユニコーン』のあり得ない比喩と想像不能の情景”を新規公開中
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日時:12月21日(水)
◆午前の部
ポエトリー・リーディング・ワークショップ(10:00〜11:30)
西館2階2ー2教室、2ー7教室
ポエトリー・リーディング・コンテスト(11:30〜12:30)
コンテスト参加者は、要予約
西館2階2ー2教室
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Mervyn Peakeの“The Frivolous Cake”を読みます。
◆午後の部 「音と言葉によるパフォーマンス」(13:30〜15:00)
吉増剛造氏(詩人)&吉増マリリアさん(詩人・創作家)
西館1階1ー4教室
主催 和洋女子大学英文学会
連絡先 047ー371ー1375
english@wayo.ac.jp
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