Complete text -- "2012年和洋女子大学公開講座"

04 May

2012年和洋女子大学公開講座

和洋女子大学公開講座のお知らせです。

     5月12日(土)、5月19日(土)
     14;00〜15:30 国府台キャンパスにて

2012年度公開講座 「文化の十字路」

メインストリームカルチャーとサブカルチャー
〜現代オタク文化と異質要素の統合現象〜

 生物の特有の生活様式である“文化”は、異質の要素の統合を行う傾向を持ちます。伝統的なロマンスや童話や小説の中からその具体例を指摘し、さらに現代のアニメやゲームやマンガなどのサブカルチャー文化に おいて様々の要素が複合的に導入されて、高度な仮構世界の表現がなされていることを指摘していきます。

“複合芸術”と“エントロピー増大則”
 エントロピーと“ネゲントロピー”―種々の具体例を考える
 冷房と温暖化
 人種混交と種の分化
 システム理論:熱力学とエネルギー保存則と生物体と仮構
 デカルト:宗教と哲学から科学を分けた
 コールリッジ:科学と哲学の統合を目指した

形式における統合現象
 鳥羽絵、漫画、歌劇、映画
 詩と絵画の結合―ウィリアム・ブレイク(William Blake)の彫画、
 時祈書(book of hours)、彩色手稿(illuminated manuscript)
 脚本と散文の結合― ホレス・ウォルポール(Horace Walpole)の『オトラント城奇譚』(The Castle of Otranto)
 伝奇とリアリズムの融合:ロマンス、“ゴシック・ロマンス”、ノヴェル

韻文、散文、演劇における統合現象
 エピック(epic)、リリック(lyric)、散文(prose)
 叙事詩と散文の結合―J. R. R. トルキーン(Tolkien)の『指輪の王』(The Lord of the Rings)伝承、記録、言語、文化等に関する蘊蓄と裏設定の世界
 叙情詩的散文と詩的映像表現:観念小説、叙情マンガ
 小説におけるジャンルの分岐と統合―推理小説、恋愛小説、冒険小説、歴史小説等

内容の組み合わせと結合
マンガ、小説、映画であらゆるジャンルの順列組み合わせが実現されつつある
 ギャグとシリアス、ミステリーとロマンスとアドベンチャー、歴史物とSF、学園ドラマと怪奇とハードボイルド、ホラーとロマンスとお茶の間、教養とアイロニーと“萌え”、エロ・グロ・ナンセンスと哲学・宗教・科学

原作と“スピンオフ”
 『フルメタル・パニック』―『フルメタル・パニック・ふもっふ』
 『ソウル・テイカー』―『ナースウィッチ小麦ちゃん』

民衆文化と高踏的教養の融合
 メルヘン:Volks MärchenとKunst Märchen
 アンデルセン童話

現代文化の諸ジャンル
 バレー、オペラ、入れ墨、盆栽・園芸、料理、舞踊、マッド動画、ボカロ、コスプレ、同人誌

“ゲーム”という新ジャンル
 映画、歌劇は“総合芸術”としての最終形態になっているか?
 小説、映画、音楽等の全てを“ゲーム”として解釈可能
“時間芸術”・“空間芸術”・“概念芸術”―映像・音声・概念等の諸情報の操作
 ゲームと小説と“visual novel”
 ゲームと叙事詩―RPG(ロールプレイング・ゲーム)『ドラクエ』、『FF』
 ゲーム作品Myst:情報の収集による謎の解明、主人公はゲーム・プレイヤー
 ゲームの特質―“双方向性”、“分岐ストーリー”等

思考実験―“熱死状態”、“熱平行”と仮構
全ての情報勾配が失われた状態における仮構/現実の特質を考える
 あらゆる既存の“ジャンル”が統合される
 作品の作り手と受け手の区別が無い
 仕事、勉強と娯楽の区別が無い
 訓練・戦闘等はゲームとして行われる
 現宇宙はゲームとして始まった:Brian Whitworthの世界ヴァーチャル・リアリティ説
 等価原理に基ずく変換記述―“リアル”と“フィクション”、“現象”と“可能態”の区別は本質的なものではなく、記述上の区別でしかない
23:13:36 | antifantasy2 | | TrackBacks
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