Complete text -- "木内ギャラリークリエイティブライティング講演会のお知らせ"

23 August

木内ギャラリークリエイティブライティング講演会のお知らせ

 8月22日より、「二次創作とクリエイティブライティング」の展示が開始されました。「こんにちの文化」で提出されたレポートも多数公開されています。様々な模範レポートがありますので、席にお持ちになってじっくりお読みください。今年度のレポート課題は以下の通りです。


レポート課題
 本講座において初音ミク、アスカ、レイ、Black★Rockshooter、セイバー等の仮構的キャラクターの人格特質に関する考察を通して拡張された人格概念は、存在と現象と人格の関連をいかに再解釈することを要求するものであったか。フィクションと現実を通貫する存在論の可能性について、自らの理解するところを語りなさい。
 あるいはこの主題を展開する過程で様々のフィギュア作品、アニメ作品、ゲーム作品等を参照して論考を行った本講座の視軸を活用して、自らの作品レビューの応用例の提示を試みなさい。考察対象としては、創作物として現出した作品のみならず、本講座の講義の実体そのもの等あらゆる事象が含まれるものとする。
 さらにこれらの主題を自らの創作理念として採用した、実作の提出も認めることとする。その場合には完成作品の提出に加えて、作品完成に至るまでの企画立案、制作の過程、制作後の反省と問題点の考察等の文章記述を連動させたものであることを条件とする。

フリーフォーラム講演会のお知らせ
8月25日午後1:00〜2:30
人形作家石原里恵さんのビスクドール入門講座
フィギュアとドールを通して人格と存在の意味を再検証した「こんにちの文化」の主題の応用編です。ビスクドールについての基本的な知識と、文化の継承と応用創作の双方を実践しつつある現在の活動状況を語っていただきます。参加者の方達との自由な質疑応答を通して、創作と研究の喜びを語っていただきます。なんでも遠慮なくご質問してください。提供して頂いた画像には、八月ウサギの兄弟分たちの姿も見えます。




9月1日午後1:00〜2:30
フリーフォーラム 「存在と現象と人格の意味」
初音ミクとは誰か? 私とは何か?「神経宇宙論」の語る意識と世界の関係を考える発想を紹介し、形而上的な意味の本質を再考します。アニメ『Madlax』について論じたレビューを通して、意識と人格の意義を一緒に考えていきます。
 
1時から4時までの間、自由に意見交換を行います。好きな時間帯にお出でください。

今回のフォーラムは、2017年度公開講座「マルドウックスクランブルと共感覚」、2018年度シニアフォーラム「私の人生に意味はあったか」の主題に関する応用編として、質疑応答の機会を設けるものです。
「アニメの博打シーンで考える量子力学と深層心理学の原理」
https://www.academia.edu/33260992/Synesthesia_and_Pleroma.docx


「私の人生に意味はあったか:私の存在と意味の内実をmonismの宇宙論から再検証する」
https://www.academia.edu/36553996/confession_of_love.docx


アニメ『Madlax』の主題を検証した論文をテキストにして、宇宙の場としての構造と意識との関連を考察していきます。テキストとして『Madlax』の抜き刷りをお配りします。



 量子力学の発見以降“直観”という心的作用は、意識の主体である人と思考の対象となる世界を非局所的に結ぶ全体性の構造を思念する際に、“意識”(consciousness)という概念そのものの再検証に関わる重要課題として、様々な物理学研究者達の関心を惹き付けることになっている。心理学の場合に劣ることなく宇宙論に関わる物理学理論の構築においても、クオリアを生じる基体となる“awareness”の意義性の解明に繋がる “consciousness study” は、むしろ根本的な関心事なのである。James Beichler、Neil Theise、Federico Faggin、Jack Sarfatti等の哲学や形而上学に連接する総合的な視野を備えた物理学者達が、それぞれの立場から科学の統括的な再検証を試み、意識の問題を解明しようと試みているのである。
 例えば大統一理論を導く修正版の場の理論として “Single Field Theory” (単一場理論)を提唱するジェイムズ・ベイクラーは、彼の宇宙モデルと意識との関連を、以下のように語っている。

 Since consciousness can collapse the wave function to determine physical reality
 as well as play a pivotal role in the emergence/evolution of the material universe,
 consciousness and the single field theory together form a branch of science that
 should henceforth be called Neurocosmology.

 意識は波動を収束させて物理現象を決定させるのみならず、宇宙の生成と進化におい
 ても決定的な役割を果たすものであるので、意識と単一場理論を統合して、“神経宇
 宙論“(Neurocosmology)と呼ぶべき科学の一分野が形成されることになる。

事象生成における“観測効果”の要因は、古典物理学の世界観に安住することを許さない衝撃的な重要課題であったが、ベイクラーの主張する意識の特質は、従来の科学が前提としてきた“客観的物理存在”の力学的支配に捕われることなく、意識の主体が原理的に様々な思弁や妄想さえも行うことができるという点にある。現実世界における経験を通して得られた知覚や情動や、これらを一連の時間軸に沿って配置した“記憶”という描像のみならず、自由意志に基づく想像力を駆使して現実世界の限界を超えた可能態としての世界像をも構想することが可能な思念の力は、むしろ形而上的な界面で宇宙の実相に深く結びつくものであり得るからである。質量点による力学的作用の連鎖という決定論的束縛からは自由に、“意識”は非決定論的に思念の力を振るう機能を発揮することができると、ベイクラーは主張する。

 Indeterminism, as a characteristic of the ‘absolute elsewhere’, allows
consciousness to abstract ideas and concepts whether they are historically real
(follow along the events time-line) or not. So consciousness allows us to think
beyond the limits on the brain/mind and associated sensations that are restricted
by our experiences which are material reality oriented within what we perceive
and have perceived in our personal light cones. This is an important feature of
consciousness often associated with imagination, abstraction, thought, intuition
and other ‘qualia’ which are all important facets of consciousness.

 非決定論は“絶対的別領域”の特質として、意識が(事象生成の時間軸に従うという
 意味で)歴史的真実であるか否かに限ることなく、概念や想念を構築することを許す。
 従って意識は、我々が個々の光円錐の範囲内でこれまで知覚しまた今知覚しつつある
 ものの中に方位づけられている物質世界である我々の経験によって制約されている、
 脳機能と精神機能とこれらに関連する情動の限界を超えて、我々が思考を行うことを
 可能にするのである。これこそが意識の、しばしば想像力、抽象機能、思考、直観な
 らびに意識の重要な位相をなすと看做される諸クオリアと関連する、重要な特質であ
 る。

ベイクラーの提示した大統一理論の新構想の例で明らかなように、宇宙論は意識の問題に焦点を当てた、形而上学の問題となる。“宇宙論”というパースペクティブの裡で、意識の保持する現象世界の記述に束縛されない可能世界の構築を行い得るという仮構創出能力は、仮構性(fictionality)の形而上的意義性の再検証を要求するものとなるのである。宇宙の現象生成/内在原理に対する把握における直観の機能を容認し、自由意志の存在を仮定するならば、想念が独自に創り出す疑似世界像である仮構の目的論的存在意義が、改めて主張されねばならないことになるからである。形而上学的思弁は、純然たる仮定とそれに基づく可能世界像の暫定的構築という点で、実は仮構記述と原理的に異なるところはない。さらに浩然たる意識の自己観照として、本来の自己の潜勢態と現象態と可能態のそれぞれの様相の緻密で立体的な直覚的理解を図ることが、意識の自律進化における目的であるとするならば、むしろ仮構創出という位相こそが最もその条件を満たすに相応しい自律的活動と認められることにもなる。そして宇宙の生成と発展の過程とその究極の果てを思弁する上で欠かせない重要課題となるのが、宇宙そのものの自律進化との関連における“意味”と“時間”という概念の再措定なのである。それは存在物の統合と分裂という現象生成の原理とその情報的特質を通して再定義されることとなり、このアニメの重要主題とも密接に関わることとなる。


https://www.academia.edu/23192477/The_Annihilation_of_Genre_Axes_in_Madlax_Amorphous_Fiction_of_Dislocated_Perspectives_and_Archetypes_Fictional_Reality_1
https://www.academia.edu/31919577/The_Annihilation_of_Genre_Axes_in_Madlax_Amorphous_Fiction_of_Dislocated_Perspectives_and_Archetypes_Fictional_Reality_2

https://www.academia.edu/31925486/Dislocation_of_Genre_Concepts_in_Madlax_Fictional_Perspectives_and_Hyper_Natural_Directing_Method_1

https://www.academia.edu/36134761/Dislocation_of_Genre_Concepts_in_Madlax_Fictional_Perspectives_and_Hyper_Natural_Directing_Method_2





フリーフォーラム ビスクドール講座2


9月8日(土)13時〜14時30分
人形作家石原里恵さんの「ビスクドールの作り方」

ヘッドを造るのに用いる型や様々な種類の完成品など、実物をお見せして語ります。




幻冬舎コラム連載開始

幻冬舎ルネッサンスアカデミーでコラムの連載を始めました。2週間ごと4回に渡って続けられる予定です。今回のクリエイティブライティングの主題の軸の一つとなる講義「総合芸術」で取り上げたThe Last Unicorn の興味深い関連資料について紹介し、この作品の再評価の機運とサブカルチャー文化の影響を語ります。以下のリンクをご覧ください。

http://www.gentosha-academy.com/serial/beautiful-nippon-1-3-3-2/
詳しくは、9月8日に質疑応答の機会を設けます。
23:05:05 | antifantasy2 | | TrackBacks
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