Complete text -- "Composite Art and Fictional Archetype"

28 September

Composite Art and Fictional Archetype

Introduction of the exhibition part of 2019 international symposium that is going to be held at Wayo Women's University Kudan facility in December. Storyboards of the anime The Last Unicorn are exhibited in order to grasp the nature of the primordial meta-identity that gave birth to the novel The Last Unicorn.



総合芸術とメタ芸術概念と仮構的存在同一性



 芸術作品が具現する物理的な次元に対応して絵画・彫刻は空間芸術、音楽は時間芸術と分類され、これに対して言語を用いて抽象的な観念の様相で生成される文学作品は概念芸術という呼称を用いて分類されてきた。これらの諸要素を統合した表現形が得られる演劇・オペラは総合芸術という呼称を用いて理念を共有する分類規範に組み込まれ、現代では映画がその代表的な地位を占めることになっている。
 この時間と空間と概念を個別の次元を規定する範疇区分形成要素とみなす発想は、古典物理学の世界観を直截に反映している。しかしながらニュートン力学において仮定されていたように、宇宙の全ての事象を質量点の運動と衝突から生起する力学現象として把握することを試みる古典物理学的世界描像は、その限界を露わにすることとなった。時間次元と空間次元の連続性を示唆する統合場として提示されたミンコフスキー空間と、重力場に基づいて新たな宇宙の構造性に対する再検証を要求するアインシュタインの一般相対性理論は、事物の存在様態とされる諸現象に対して各々の位相空間としてのあり方の吟味の必要性を問いかけている。
 質量点のモデルとして粒子という様相で仮定されていた原子を場の振動に置き換えて記述することを試みる量子力学は、存在概念に対する新たな規範を求めて時間と空間を統合するばかりでなく、現象生成に欠かすことができない要因として意識の関与をも想定することとなっている。量子様態の現象物としての確定に観測効果による意識の関与が不可欠であるばかりでなく、表現として得られた結果は意識作用の中に構築される印象あるいは感覚に帰着することになる。クオリアを現象生成の帰結として認めることにより生成する何かを語り直す試みは、場としての宇宙の肌理を構築する存在単位である意味と情報の実在的位相に対する再評価を要請している。このような視野においては物理存在と心理作用のみならず、具象物と抽象概念に加えて純然たる妄想の産物である筈の仮構をも含めて統括的に範疇形成に収めることができる、観念と存在を通貫する統合場が仮定されねばならない。
 このような思想的動向を反映して、存在と現象と主観的体験の分別を認めない多義的な原型世界を描く様々な可能世界が、多くのアニメ作品の題材として採用されている。またゲーム作品においては、一つの作品タイトルの基に種々の範疇区分を具現した複数の観念場が形成されるに至っている。ゲームでは鑑賞者がプレイヤーとして能動的に作品世界の構築に加わることから、電算化データとして集積されたアーカイブの情報抽出手順とアレンジの手法に従って、異なった表現形を具現する無数の可能世界が様々な位相を示して提示されることになる。古典力学的な物理的次元のみを範疇区分形成の根拠とする芸術作品の分類理念は、全く異なる視点から再構築されねばならないのである。取り分け検証を迫る重要課題が、事象として発現する前過程にある潜勢態が現象化過程において具現する偏差を含めた同一性の認知である。現実存在のみならず仮構存在においても、作中に登場する人物あるいは背景を構築する作品世界そのものに関して、個別性の判断を流動的に認める新たな概念軸の導入が必要とされるからである。時空連続体の発想を敷衍して時空精神連続体や現実仮構連続体等のより高位の統合的次元を基盤に据えた、存在概念の範疇区分を包括的に含める位相空間の再編成が求められるのである。
 ゲーム作品においては、原型的多義性の具現する偏差のいくつかが鑑賞の過程において分岐する個別のルートとして辿られ、現象性の背後にある原型的様態を参照する試行が果たされている。小説・マンガ等を原作としてアニメ・映画等の異なるプラットフォーム上に再変換された二次創作作品は、結果的にこれと同様の構造的枠組みを示し、個別の作品存在とこれらが参照する原型様態の関係性を思弁する新たな手がかりを提供している。潜勢態や可能世界あるいは論理的に破綻する不可能世界を含み得る物理次元としての仮構は、現実世界に比してさらに多くの次元を内包する多様体構造を持つことが予測される。世界構成軸を規定する無数の要素の位相変換を考慮に含めれば、諸可能世界を通貫して存在軸を保持すると思われる、メタ概念存在の同一性と相当性が新たに発見されることだろう。
 このような思弁の糸口を魔法という形而上的主題の基に内包する観念小説がThe Last Unicornだ。ユダヤ人作家Peter S. Beagleが文章記述の粋を凝らした原作を巧みな映像表現を用いて変換したアニメは、キリスト教文化圏のアメリカと漢字文化圏の日本の合作で制作された二次創作作品だ。その成立過程を証す絵コンテ等の諸資料を検証してみると、現象物として具現した作品とその背後に潜伏する原型存在の相当性を吟味する新たな機会が得られるのだ。

14:02:18 | antifantasy2 | | TrackBacks
Comments

GRLpGpAG wrote:

1
08/08/20 05:50:04

GRLpGpAG wrote:

08/08/20 05:50:14

GRLpGpAG wrote:

08/08/20 05:50:15
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