Archive for 01 October 2004

01 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 1

The unicorn lived in a lilac wood, and she lived all alone.

 ユニコーンはライラックの森の中で、彼女一人きりで暮らしていました。

 この物語の主人公であるユニコーンの性は女性として設定されている。伝説上のユニコーンが、その角が男根を象徴するものとされ、常に男性のイメージを担っており、処女の守神とされているのとは対照的である。男性原理を集約したかのような存在であるユニコーンが、女性原理を主張する文脈の中に描かれることになる。このような視点はファンタシー文学の思想的特質を如実に反映しているものであると思われる。またここに見るような諧謔的な価値観の転換は、この作品におけるアイロニーの発現の典型的な例であり、キーワードとして設定した“antifantasy”という概念と密接な関わりを持つものである。

用語メモ
 “antifantasy”: 一般的にファンタシーが保有する通念に敢えて逆行するような要素をこの言葉で呼ぶこととする。


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