Archive for 12 October 2004

12 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 12


"Did she ride her unicorn, then? Bareback, under the trees, like a nymph in the early days of the world?"

「それからあんたのひいおばあさんはユニコーンの背に乗せてもらえたのかい?鞍も無しで、木々の下で、世界のまだ若かった頃のニンフのように?」

 ユニコーンについて語り合う二人の狩人達は、どちらも文化・伝承等について相当の知識のある教養人である。彼等の誠実な現実認識は、現在の世界を堕落と荒廃の果てとして捉えるものである。かつては清新の無垢の世界が存在したかもしれないが、今は何らかの理由でそれが失われてしまっていると彼等は考える。そのことの理由がユニコーンの保持する独特の属性と関係を持つものとして示されることになる。
 キーワード、“time”及び“reality”と関連する。

用語メモ
 キーワード“reality”:現実が矛盾と汚濁に満ちたものであるなら、そのような過誤の無い本来の理想の姿はいかなるものとしてあり得たのか?そしてそれをいかにして記述し得るのか?現在の“reality”が“世界が若かった頃”と乖離したものとして受け止める感覚は、上のような問題意識を中に秘めている。

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