Archive for 14 October 2004
14 October
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 14
Nothing can happen to them [unicorns] that does not happen to me.
私の身に起こらないことが皆に起こる筈がない。
狩人達の会話を耳にはさんで、自分以外のユニコーン達が全てこの世から姿を消してしまった、という彼等の話を信じることができないユニコーンは、このようにつぶやく。ユニコーン(unicorn)が永遠普遍の真実、つまり普遍性(the universal)を意味するものなら、彼女のこの言葉は正しい筈である。しかしこの物語は例外的に「最後のユニコーン」になってしまった、特別なユニコーンについての物語であることが逆説的に示されることとなる。
用語メモ
逆説(paradox):Nothing that does not happen to me can happen to them.と書き改めることのできる上の文は、直感的に理解できる慣用表現とは異なり、二重否定の構文を生かして論理的な意味を厳密に担わされた、特殊な言説となっている。他にも同様の例がいくつかあるので、読解には注意を要すると思われる。逆説と論理矛盾の論理に対するBeagleの愛好は、彼の思想的根幹として老子的な東洋思想があることを暗示している。
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