The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ　１９

Time had always passed her by in her forest, but now it was she who passed through time as she traveled.

これまでは森の中で、時間は常に彼女の傍らを通り過ぎて行くだけでした。けれども今は、時間の中をくぐり抜けて、彼女が旅を続けていくのでした。

　永遠性の存在であるユニコーンが、その属性を反転させて時間性の支配を受けつつある。このような観念的な思弁性が、この作品世界を形成する根幹的条件となっている。抽象的な図式を緊密に成立させるために、さりげない語句の一つ一つが、物語全編に渡って和音のように反響しあっていることが分かる。これらがキーワードとして設定された語句群である。

用語メモ
　キーワード "time"：「時間」は世界の存立機構を支える基本軸の一つとして、世界観を決定する重要な因子となる。本作品においても他のキーワードのいくつかと連関して、特有の「時間論」を成立させる堅固な構造性が存在していることが指摘できる。

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