Archive for 21 October 2004

21 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 21


The man knew what she was, and what he himself was for: to hoe turnips and pursue something that shone and could run faster than he could.

この男には自分なりに彼女が何物であり、彼女に対して自分が何をしようとしているのかが分かっているつもりでした。自分が畑の蕪を掘りあげることを知っているように、今は何か輝くような美しさを持ち、自分よりもより早く走ることのできるものを捕まえようとしていることを。

 ユニコーンが予期していたものとは全く異なったさもしい認識(知覚)と価値観が描かれていくことになる。「ユニコーン」の存在を感知することのない世界が、我々読者の慣れ親しんだ「現実世界」である。ユニコーンという新規の指標を用いた、現実世界に対する再評価の試みがなされているのである。キーワード“reality”と関連する。

用語メモ
 知覚(perception):人は視覚や聴覚等の感覚器官を通して得た刺激から外界の姿を感知している。見えないものは無いに等しいし、存在を自覚する用意の無いものは、目に映っても“見えて”はいない。

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(「最後のユニコーン」ノート、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」等を公開中)


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