Archive for 23 October 2004

23 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 23


...those who saw her exclaimed. "Now there's a horse! There's a real horse!" One old man said quietly to his wife. "That's an Ayrab horse. I was on a ship with an Ayrab horse once."

彼女の姿を見たものは叫びました。「ほら、馬だ!あれこそ馬というものだ。」一人の老人が妻に静かに語りかけました。「あれはアイラブ種の馬だよ。昔乗った船に、アイラブ種の馬がいたんだ。」

 キーワード “trueーfalse”と関連する。人々にはユニコーンがユニコーンとしては知覚できないにせよ、彼等なりに一般の基準を超えた優れたものとして見える。 "Ayrab horse" は "Arab"(thoroughbred と並んで名高い名馬の血統)を連想させる。この世に生きる人々の得る知覚と認識は、真実のものとはどこかかけ離れたものになってしまっている。

用語メモ
高貴さ(nobility):ロバなどと比べて、馬はより高貴な動物であるとされる。馬の中でもサラブレッドとアラブは純血の最高の品種として知られている。どの世界のどのような存在においても自ずから気高く、立派なものがあるとする感覚がここに反映されている。この認識は実はファンタシー文学の思想的特質を形成するものである。

メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(「最後のユニコーン」ノート、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy" 等を公開中))



00:00:00 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks