Archive for 25 October 2004

25 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 25


But she knew beyond both hope and vanity that men had changed, and the world with them, because the unicorns were gone.

けれどもユニコーンには、自尊心と期待の気持ちにもかかわらず、人間達がすっかり変わってしまい、それと共に世界のすべても変わり、それはユニコーンがこの世からいなくなってしまったせいであることが分かっていました。

 人間の本性の堕落とユニコーンの存在的意義との間に密接な関連があることが暗示されている。ユニコーンとは人間と自然を良きものにする世界の潜在的要因でもあろう。19世紀のファンタシー文学においては妖精(fairy)がそのような記号的機能を果たしていた。

用語メモ
 フェアリー:人間と自然と妖精(精霊)が、それぞれ別個の存在物としてではなく、互いに連関した相補的な存在様態を示すものであるとの見解がとられたことがかつてはあった。そのような認識においては人間性とは、自然と敵対する、あるいは自然から隔絶されたものではない。自然観と人間観の様々な変遷が実はあったのである。

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(「最後のユニコーン」ノート、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト"Annotated Peter and Wendy"、 論文「汎宗教とパン」等を公開中)


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