Archive for 04 October 2004

04 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 4


She did not look anything like a horned horse, as unicorns are often pictured, being smaller and cloven-hoofed, and possessing that oldest, wildest grace that horses have never had, that deer have only in a shy, thin imitation and goats in dancing mockery.

 彼女はユニコーンがしばしば絵に描かれていたように、角のついた馬のような姿をしてはしていなかった。体は馬よりも小さく、蹄は二つに割れていて、馬には決して持ちえない、鹿にはただ薄っぺらなおずおずとした物真似でしか持ちえない、そして山羊にはおどけて踊るような歪んだ形でしか備わっていない、独特な(オールドでワイルドな)優美さを持っていた。


 ユニコーンの保持する独特の属性が、様々の動物の特徴との比較の上で語られている。作者の動物に対する広汎な知識と愛着は、この作品のイメージの基調を形成している。キーワード“animal image”と関連する。
 “grace”(優美さ)を形容する言葉として、 “old”も“wild”も共に矛盾するものであるが、 “old”が独特の意味の変容を意識して用いられているのと同様に、 “wild”も矛盾した形容語の使用という修辞法、 “oxymoron”の効果を最大限に活用して、独特のユニコーンの存在属性を主張するために意図的に用いられているものである。 “wild”は「荒々しい」、「野性的」とは訳し難い。“tame”が「人の手によって飼いならされた」、の意味を持つのに対して、人間性の支配から全く自由であることを主張する表現としてここでは “wild”という形容詞が用いられていることになる。

用語メモ
“oxymoron”:「撞着語法」と訳される。『最後のユニコーン』において多用されている。

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