Archive for 19 November 2004

19 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 50


The heavy lock giggled and whined like a mad monkey.

檻のずっしりとした大きな錠前は、気の狂った猿のように喉を鳴らしてせせら笑いを始めました。

 サーカスの無気味なイメージを表現した語句のうちでも特に印象的な表現である。『最後のユニコーン』のミッド・カーニバルの描写における異様な美的感覚については、しばしばレイ・ブラッドベリの作品世界との類似が指摘されている。無気味、醜悪さ(グロテスク)は“美”の対立概念として、しばしば美そのものとして高く評価され得る結果をもたらす。

用語メモ
 グロテスク(grotesque):この言葉もまた、ロマン主義の思想との関連が深い。地中海沿岸に多く見られた洞窟(grotto)の内部の異様な迫力を持った美しさは、規範にとらわれることのない新しい美の主張として訴えるものが大きかった。アンデルセンの長編小説『吟遊詩人』にも、極めて印象的な洞窟内の場面が描かれている。もう一つのロマン主義的な新しい美の要素は、アラベスク(arabesque)である。

和洋女子大学英文学科
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作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"、佐倉セミナースピーチ実況中継等を公開中)


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