Archive for 20 November 2004

20 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 51


She turned and turned in her prison, her body shrinking from the touch of the iron bars all around her.

ユニコーンは檻の中を何度も何度も、歩き周りました。彼女の身体自身が、周囲を取り巻いている鉄の格子に触れるのを嫌がって、身をすくめるのでした。

 Mommy Fortunaによって魔法をかけられユニコーンを閉じ込めている檻の鉄格子の邪悪さが、“iron” という言葉によってたびたび強調されている。この章においては他にもRukhの冷徹なイメージをあらわす際に“iron”という言葉が多用されている。世界の誕生と時間の流れに意味があり、創世の初期の清新の世界を「黄金の時代」と呼び、世界が堕落を重ねるに従って「青銅の時代」となり、時間の終わり、破滅を迎えるべき戦乱の時代が「鉄の時代」と呼ばれていることと関連しているのかもしれない。

用語メモ
 歴史と意味:世界そのものの誕生と、その生成発展にかけがえのない重要な意味があるとするか否かは、世界観の形成において決定的な相違をもたらす。存在物個々の独自に保有する価値と、それらが互いの関係性の中に示す進展の経過自体においても、見逃すことのできない重大な意味がが判読することができると考えるのが、ファンタシーの底流にある思想であった。

和洋女子大学英文学科
「ポエトリー・リーディングの一日」のご案内
詳細
http://www.wayo.ac.jp/topics/boshuu.html
作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"、等を公開中)




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