Archive for 03 November 2004

03 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 34


“Has anybody here seen Kelly?”

「誰かケリーの姿を見たものはいないか?」

 C.W. Murphy, Will Letters, William J. McKennaによる行方不明の兵士を歌った歌に"Has Anybody Here Seen Kelly?"がある。James Joyce のUlyssesでもこの歌の引用が行われている。最近では、デカプリオが天才詐欺師の役を演じた映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の中でも、20世紀中頃の時代背景をあらわす曲としてさりげなく挿入されていた。

用語メモ
 『ユリシーズ』(Ulysses):本来はギリシアの詩人ホーマー(Homer)作の、トロイ戦争に参加した後故国に帰還するオデッセウス(Odusseus)の冒険を歌った叙事詩である。“ユリシーズ”はその主人公の名の英語表記における読み方。けれども20世紀小説としては、ジェイムズ・ジョイスが書いた、この叙事詩のストーリーを下敷きにして、「意識の流れ」の技法と様々の文学作品からの引用やパロディを駆使して構築した、新機軸の現代文学作品として有名である。
 このセリフをつぶやく蝶と彼の言葉は、ジョイスの『ユリシーズ』という作品自身のパロディとして理解することもできるかもしれない。

公開授業のお知らせ
和洋女子大学学園祭
11月6日:”「最後のユニコーン」と魔法”
11月7日:”「最後のユニコーン」とsorrow”
両日共、午後1時より開催

公開授業の詳細:和洋女子大学TOPICS http://www.wayo.ac.jp/topics/eibun.html

メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(『最後のユニコーン』注釈資料、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"、『ハリー・ポッター』研究サンプル、その他ファンタシー文学研究資料を公開中)



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