Archive for 14 December 2004

14 December

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 75


"Still I have read, or heard it sung, that unicorns when time was young, could tell the difference 'twixt the two--the false shining and the true, the lip's laugh and the heart's rue."

「けれども私はどこかで読んだか、歌われるのを聞いた覚えがあります。まだ世界が若かった頃、ユニコーン達は偽りの輝きと真実との、口先だけの笑いと心の奥底の悲しみとの違いを確かに知っていたと。」

 “世界が堕落をまだ知らない頃”という言葉に暗示される、清新の無垢の世界がかつてあったとする世界観は、この物語におけるユニコーンの存在と対応している。キーワード、“time”と関連する部分である。心を納得させることができない現在の世界の欠陥に満ちた有り様は、本来のあるべき姿ではなく、何らかの過ちが犯された結果もたらされた、堕落の様相であるとする思想である。

用語メモ
 ユニコーン:このお話独特の、ユニコーンという存在の保持する象徴的意義性が上の言葉に窺える。ユニコーンとは、真実の実在を例証し、永遠性と人間存在とを結びつけ、理想の確証となるべき神話の具現化したものなのである。

和洋女子大学英文学科
「ポエトリー・リーディングの一日」のご案内
詳細
http://www.wayo.ac.jp/topics/boshuu.html
作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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