Archive for 02 December 2004

02 December

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 63


Schmendrick's face had gone the color of oatmeal.

シュメンドリックは色を失って、オートミールみたいな顔の色になりました。

 純粋な美や恐怖等を崇高さという感覚を通して描こうとするファンタシーの機構の内部において、日常的些末性を敢て導入することにより、自己破壊的要素を発揮する本作品において顕著な表現技巧である。『アメリカ文学におけるファンタシーの伝統』を著したブライアン・アテベリーが拒否反応を示した部分であるが、本作品においては主題上極めて重要な要素を形成していると考えられる。キーワード“antifantasy”に相当する。

用語メモ
 自己破壊:ファンタシーの世界を描いていることに対して自覚的なファンタシーの語り口として、偽りの幻想に溺れることを峻烈に拒む内省が、しばしば作品世界そのものを客観視する自己破壊的要素を形成することとなる。


和洋女子大学英文学科
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詳細
http://www.wayo.ac.jp/topics/boshuu.html
作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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