Archive for 24 December 2004

24 December

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ  85


"It comes and goes."

「魔法の力は、時として訪れることもあれば、やってこないこともあるのです。」

 魔法の力を振るうことに失敗した魔法使いシュメンドリックが言い訳として口にした言葉であるが、『最後のユニコーン』において描かれている魔法の原理機構の枢軸的要素を語るものとして、彼のこの発言は真実のものである。
  “it”は魔法のこと。魔法の力は行使する者の内にあるのではなく、外部からやってくるものとされる。時において魔法使いは魔法の力を呼び寄せることもできるが、時にはどうしても不可能な場合もある。魔法の力の発現は、魔法の力を行使する者の能力のみによるものではない。キーワード“magic”に関連する。

用語メモ
 主客の双方向的転換:魔法の技を行使する主体と発現した魔法の効果の関係は、全体性を意識したシステム理論による理解に従えば、主客を転倒させて記述することも可能なものとなる。魔法が主体となって“come”したり“go”したりするのである。



メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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