Archive for 03 December 2004

03 December

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 64


She heard hearts bounce, tears brewing, and breath going backward, but nobody said a word. By the sorrow and loss and sweetness in their faces she knew that they recognized her, and she accepted their hunger as her homage.

ユニコーンは自分を見つめる人々が心を踊らせ、涙を滲ませ、息を呑むのを聞きました。けれども誰一人として声を出すものはいませんでした。彼等の顔に浮かんだ悲哀と喪失感と和んだ表情から、ユニコーンは彼等が彼女のことをユニコーンと認めたことが分かりました。そして彼女は彼等の飢餓感を彼女に対する敬意として受け入れたのです。

 ユニコーンの姿を認めた人々がここで示す反応は、この作品におけるユニコーンの属性を定義づけるべく設けられた、本作品独特のものである。すべての人が追い求める、普遍的な憧憬としてユニコーンという存在がある。

用語メモ
 飢餓感(hunger):ユニコーンを失ったことの自覚が「飢餓感」として定義される。向上の目標となるもの、自らの存在する意味を保障するもの、心に真正の喜びを与えてくれるものを希求する気持ちでもある。


和洋女子大学英文学科
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詳細
http://www.wayo.ac.jp/topics/boshuu.html
作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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