Archive for 18 January 2005

18 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 110


“She is a myth, a memory, a will-o'-the-wish. Wail-o'-the-wisp. If you remembered, if you hungered--"

「彼女は神話、あるいは記憶、願望の狐火、ため息の幻だな。もしもあんた達が思い出すことさえできたら、心の切望というものを知っていたら、、、」

 ユニコーンの姿を目にしても美しい雌馬にしか見えない町の人々に対して、一人よがりに誰にも理解できないであろう謎としてユニコーンの正体を語る、シュメンドリックの韜晦的な言葉である。

will of the wisp=ghost light
(狐火)、
wail of the wish=a groaning uttered in unfulfilled wish
(願いが叶えられない失望のうめき声)。

本来の対句となる行の語を入れ替えて暗号を形成する、言葉の遊びをしているのである。

用語メモ
 交叉対句法:修辞法の技法の一つに、上の例と同様の構造性を利用した表現がある。意味の持つ反復性と律動性は、音韻の場合と同様に概念的な音楽的効果を発揮することができるものである。


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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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