Archive for 19 January 2005

19 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 111


"Cooped up in the greenwood all day, they need a little relaxing, a little catharsis, like. Well, well, to it, eh?"

「グリーンウッドの森の中に一日中閉じ籠っていたら、少しは気晴らしというか、カタルシスみたいなものが必要になるんでさ。そうじゃないですかい。」

 暴虐を尽くす悪い領主に反逆した、Robin Hoodの隠れ住んでいた森が“greenwood”であった。
 “カタルシス”はアリストテレスの「詩学」の中で用いられているギリシア悲劇の解釈理論でもあれば、現代の分析心理学で精神疾患の治療法に応用された理論でもある。伝説のロビン・フッドの仲間を気取った男が、現代の知的教養人の用いるような学術用語を話している。anachronism(時代錯誤)を用いた諧謔的効果はキーワード“antifantasy”と関連する。

用語メモ
 時代錯誤(anachronism):意図的に行われた時代設定を無視した要素の導入は、表面的な諧謔的効果のみならず、現象と存在の在り方を根底から考え直そうとするロマン主義的主題性と内奥で深く関連しているものである。


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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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