Archive for 02 January 2005

02 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 94


The door did not swing open, and the iron bars did not thaw into starlight. But the harpy lifted her wings, and the four sides of the cage fell slowly away and down, like the petals of some great flower waking at night.

檻の戸口が開け放たれることもなく、鉄格子が月の光の中に溶けていってしまうこともありませんでした。ハーピーが翼を広げると、檻の四面がゆっくりと外れ、夜に開く巨大な花の花びらのように倒れたのでした。

ユニコーンによって助け出されたとも、ハーピーが自らの力によってマミー・フォルチュナの魔法の力を打ち破ったとも定かではないが、oldな存在であるハーピーが本来の能力を回復し、不思議な美しさを伴って秘められた力を発揮しつつある様が語られている。邪悪さもまた独特の気高さと高貴さ、つまり“崇高”を体現するものなのである。

用語メモ
 崇高(sublime)と"old":oldな存在とは近代に至って人間の社会が失ってしまった、存在そのものが驚嘆と敬服の念をかき立てる「崇高」を体現した偉大なものを指すと考えることができる。

メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


00:00:00 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks