Archive for 23 January 2005

23 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 115


The magic knows what it wants to do, he thought, bouncing as the horse dashed across a creek. But I never know what it knows.

「魔法の奴は、自分が何をしたいのか知っている。」シュメンドリックは馬が小川を突き抜ける時、ひどく揺さぶられながら考えました。「だが、それが何であるか、俺には決して分からないんだ。」

 魔法の真実について思い悩むシュメンドリックが考えたことである。魔法は魔法を使うものに操られるのではなく、むしろ使われる魔法の方が主体となってその発現効果を選ぶものであるという。キーワード“magic”と関連する。この作品の主張する独特の意味性の中で「魔法」とは一体どのようなものとして考えられているのか、という問いに対する一つのヒントとなる言葉であろう。

用語メモ
 存在理由(raison d' etre):「自分が何をしたいのか知っている」とは、ただの欲求や願望を指すのではないことは明らかである。本来自分が存在することの意味とその目的とされるものに対して十分に納得することができた時、初めて宇宙の全てを理解し、自らが生を受けたことに満足を覚えることができる。シュメンドリックはその確信が得られないことを自覚しており、また、彼にとっては魔法の理解以外にその道があり得ないことも悟っている。


メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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