Archive for 03 January 2005

03 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 95


So they circled one another like a double star, and under the shrunken sky there was nothing real but the two of them.

そうしてユニコーンとハーピーは、まるで連星のように向かい合って回り続けました。彼等を除いては色あせた夜空の下で、本当の存在感を持ったものなど、何もありませんでした。

 キーワード“real”と関連する場面である。真実(true)と本物(real)は同等のキーワードに区分される。対照的に際立って邪悪で醜悪なものと究極の高潔さと美を兼ね備えたもののみが、色褪せることのない真実の存在感を示すことができる。

用語メモ
 連星(double star)と巴:連星とは、同等の質量をもった対からなる天体のことである。両極をなすかのようなユニコーンとハーピーの関係が擬せられたこの言葉は、ファンタシー作品の根幹的主題を形成すると思われる、影と本体の緊密な補完関係から成り立つ宇宙の存在原理の一つを示す象徴としても理解し得る。思想的には、“ウロボロス” (Ouroboros)及び“巴”の紋章に表された宇宙の原理機構と重なるものである。


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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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