Archive for 30 January 2005

30 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 122


"Slit his wizard."
She had meant to say either "weasand" or "gizzard," and had said both,

 「こんな魔法使い、喉笛をかっ切って殺しちゃいなよ。」
 女は“weasand”(のど笛)か、“gizzard”(はらわた)か、どちらかの言葉を口に出そうとして、うっかり一度に両方言ってしまったのでした。

 言い間違って口にした言葉が、意図に反して“魔法使い”(wizard)になってしまったので、これを耳にしたシュメンドリックが自尊心を取り戻して、我に返ることになる。

用語メモ
 言い間違い:古代から演劇の世界ではしばしば活用されてきた、劇空間の特異な関係性と技巧的な状況を構築する、仮構世界設立に関わる特殊な技術である。現実世界の生真面目な模倣という写実的な目的とは明確に相反するものである。


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)“荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的言説―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求”を新規公開中)




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