Archive for 04 January 2005

04 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 96


Close by, she heard a child's voice telling her that she must run, she must run. It was the magician. His eyes were huge and empty, and his face--always too young--was collapsing into childhood as the unicorn looked at him.

すぐ間近で、ユニコーンは子供のような声が「走れ、走らなくては。」と言うのを聞きました。それはあの魔法使いの声でした。彼の目は大きく見開かれていながらうつろで、彼の顔は、いつもあまりにも若々し過ぎたその顔は、ユニコーンが目を向けるとまるで幼児のような顔になっていきました。

 キーワード“old”に関連する。ユニコーンのような“old”の存在に対して対照的なものはこの作品においては、“young”, “child”などという言葉を用いて形容されることとなる。これらの語は反転的に“old”という概念に連接するのである。

用語メモ
 対と極:本体とその影との関係のように、具象的存在物にせよ抽象的概念にせよ、世界を構築する各要素がそれぞれ対となる存在を持ち、対照的に分化した要素がそれぞれ極をなして互いと全体の有機的な関連を支えている、という図式で宇宙構造の全体像を捉えるのがファンタシーの背景をなす思想である。


メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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