Archive for 09 January 2005

09 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 101

ユニコーン画像 

There is a saying among farmers, when they looked on a field lost to fire or locusts or the wind: As "blighted as Haggard's heart." They say also that there are no lights in his castle, and no fires, and that he sends his men out to steal chickens, and bedsheets, and pies from windowsills.

農民達の用いる言い回しに、火事や蝗や風のために荒らされてしまった農地を見て、「ハガードの心のようにぼろぼろだ。」というのがあります。そしてまたハガード王の城には、灯りも暖炉の火さえも灯されることは無く、ハガード王は手下の兵に命じて町の家々から鶏やシーツや、窓辺でさましてあるパイなどを盗んでこさせるということです。

 ユニコーンに尋ねられて、ハガード王について耳にした情報を答えるシュメンドリックの言葉である。ここに描かれたハガード王に関する滑稽な描写は、“漫画的表現”として本作品の基調をなす感覚であり、キーワード“antifantasy”と深く関連するものである。

用語メモ
 “漫画”(comic):図絵を用いた表現様式の一つとしての“漫画”ではなく、“滑稽さ”、“荒唐無稽”というその抽象的性向に対して焦点を当てた時、この言葉がファンタシー作品世界の存在論的意義性を考察する上で、重要な役割を果たすであろうことが理解されるに違いない。


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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)

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