Archive for November 2005

30 November

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 14


There is a room in the basement of Miss Fulsom's school where the nurses wait. They sat on forms, while Nana lay on the floor, but that was the only difference. They affected to ignore her as of an inferior social status to themselves, and she despised their light talk. She resented visits to the nursery from Mrs. Darlingユs friends, but if they did come she first whipped off Michael's pinafore and put him into the one with blue braiding, and smoothed out Wendy and made a dash at John's hair.

フルサム学園の地階には子守り達の控え室があります。そこで子守り達は長椅子に腰を掛けているのですが、ナナは床の上に横になっています。違いと言えばそれだけです。他の子守り達はナナが自分達より身分の低い者として、彼女の姿が眼に入らないふりをしています。ナナはと言えば、彼等の浮ついたおしゃべりを軽蔑しています。ナナはダーリング夫人の友人が子供部屋を見に来るのが、大嫌いです。でも訪問者がある時には、ナナは先ず最初にマイケルの着ているエプロンをはぎ取り、青い編み飾りのついたのに着せ替えます。そしてウェンディの服装を整えると、ジョンの髪を直しに飛び出すのです。

 ナナの子守りとしての甲斐甲斐しい働き振りが続けて語られる。
Pinafore:幼児用のエプロン
forms:長椅子

用語メモ
 social status:社会的身分。イギリスは階級社会の国である。しかし身分の上下をあからさまに気にかけ、自分より劣った者を見下したがるのは、むしろ身分の低い者の特徴である。




「ミクシィ」でコミュニティ「アンチ・ファンタシー」を開設しました。
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日時:12月21日(水)「音と言葉によるパフォーマンス」
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29 November

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 13


It was a lesson in propriety to see her escorting the children to school, walking sedately by their side when they were well behaved, and butting them back into line if they strayed. On John's footer days she never once forgot his sweater, and she usually carried an umbrella in her mouth in case of rain.

ナナが子供達を学校に連れて行く姿などは、礼節のお手本でした。子供達が良い子にしている時は、落ち着き払って脇を歩いています。列を乱した子は、元の列に押し込みます。ジョンがサッカーをやっていた頃は、ナナはセーターを忘れたことは一度もありませんでしたし、いつも雨が降った時のために、傘を口にくわえていました。

 子守りの仕事を模範的にこなす、ナナの見事な働きぶりである。仕事ぶりだけで評価を下すとするなら、ナナは完璧なのである。

用語メモ
 “footer”:“football”(soccer)を短縮して“footer”というのはイギリス式の呼び方である。




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28 November

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 12


She proved to be quite a treasure of a nurse. How thorough she was at bath-time, and up at any moment of the night if one of her charges made the slightest cry. Of course her kennel was in the nursery. She had a genius for knowing when a cough is a thing to have no patience with and when it needs stocking around your throat. She believed to her last day in old-fashioned remedies like rhubarb leaf, and made sounds of contempt over all this new-fangled talk about germs, and so on.

ナナは最高の子守りであることが分かりました。子供達をお風呂にいれる時も、完璧でした。子供達の一人がほんの少しでも泣き声をあげると、真夜中でさえも即座に目を覚ますのでした。彼女の犬小屋は当然のこと、子供部屋の中にありました。ナナは子供達がどんな風に咳き込んだ時は緊急の対処の必要があるか、どんな場合には首の回りにストッキングを巻き付ける必要があるか、誰よりも良く心得ていました。彼女は最期の時まで、リューバーブの葉を用いる古風な治療法の効果を信じていました。そして最新流行のあの“細菌”などという話を耳にすると、いつも鼻を鳴らして軽蔑の意を表しました。

 Nanaは伝承を重んじる経験主義的な思想の持ち主であり、現代の理性主義に対立する存在である。ファンタシー文学は、思想的にはNanaの体現する古代思想を擁護する立場をとるものであると考えることができる。“new-fangled talk about germs”とは パスツールの唱えた細菌病理原因説のこと。“empirical doctor”(経験主義的な医者)とは、藪医者の代名詞であった。時代の評価は“metempirical”(超経験的)=transcendentalなものにあった。

用語メモ
 charge:“nurse”(子守り)や“governess”(家庭教師)等に世話を受けている子供をchargeという。




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27 November

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 11


She had always thought children important, however, and the Darlings had become acquainted with her in Kensington Gardens, where she spent most of her spare time peeping into perambulators, and was much hated by careless nursemaids, whom she followed to their homes and complained of to their mistresses.

けれどもナナは、いつも子供達のことを大切に思っていました。そしてダーリング夫妻は、ケンジントン公園でナナと出会ったのです。ナナは暇な時には、この公園で乳母車の中を覗き込むのを日課にしていました。そのためにだらしない子守り達はナナのことを毛嫌いしていたのです。ナナが家まで着いて来て彼等の不注意を館の主人達に言い付けるからでした。

 ダーリング家で子守りとして雇うことになったナナという名前の犬は、独特の性向を示す重要なキャラクターの一人となっている。雇い主のダーリング氏はおそらく気付いていないであろうが、実はナナは両親が捨てた旧世界的伝統と作法を継承するものであるかもしれない。

用語メモ
 Kensington Gardens(ケンジントン公園):作者バリがダーリング家の子供達のモデルとなったデイビース家の少年達と出会い、冒険ごっこに熱中する舞台となった公園である。ピーターというキャラクターと関わる様々な要素がこの公園にはある。



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26 November

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 10


Mrs. Darling loved to have everything just so, and Mr. Darling had a passion for being exactly like his neighbours; so, of course, they had a nurse. As they were poor, owing to the amount of milk the children drank, this nurse was a prim Newfoundland dog, called Nana, who had belonged to no one in particular until the Darlings engaged her.


 ダーリング夫人はなにもかもきちんとやっていくのが主義でした。そしてダーリング氏もご近所の方々とそっくり同じ風にやっていくのが望みでした。そういう訳で、当然、彼らは子守を雇ったのです。子供達がたくさんミルクを飲むおかげで彼らは貧しかったので、この子守はナナという名前のすましたニューファウンドランド犬になりました。ナナはダーリング夫妻が雇うまでは特にどこのお宅にお仕えしている訳でもありませんでした。

 ご近所と全く同じような生活をしようと思って、実は全く独創的なことをしてしまうDarling氏なのである。本人が自分自身の逸脱的性向に全く無自覚な点がダーリング氏の特質である。

用語メモ
 neighbours(ご近所):この物語が書かれた1911年のイギリスは、伝統的なビクトリア時代の旧世界ではない。20世紀的な新感覚の生活様式が主流を占めつつある変革期である。ここで語られている「ご近所」は、必ずしも旧世界的なコミュニティを指すものではないだろう。ダーリング家の子供達の数が3人でしかないのも、この一家をとりまく新しい生活環境を暗示している。19世紀までは10人前後の子供を設けるのが当たり前であった。



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