Archive for 12 November 2005

12 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 408


The magician laughed for a third time. "Oh, it will be the kind magic, undoubtedly, because you would like it more. I do not think that I will ever see you again, but I will try to do what would please you if you knew."

魔法使いは再び笑って、答えました。「勿論、私の選ぶのは、善良な魔法です。その理由は、あなたがそれを喜んでくれると思うからです。もうあなたに会うことはないだろうけれど、もしあなたが、私がそれを行ったと知ったら喜ぶであろうようなことをしたいと思うのです。」

 どちらを選んでも結果的に何の違いも無いことと知りながら、正しい道を選びたいと思うの理由は、「ただそれがユニコーンの好むことだと思うから」とシュメンドリックは答える。「何故正しい行いをしなければならないか」という倫理上の難題に対しての解答となる、ユニコーンを媒介軸とする普遍的原理が暗示されている。

用語メモ
 倫理規範:“人は何故正しいことを行わなければならないか”というあまりにも素朴な疑問に対して説得力のある答えを用意することは存外に難しいことである。ここではユニコーンに対する一方的で献身的な愛の念が、唯一提示可能な善を探究すべき根本理由としてあげられているのである。

お願い
 “『最後のユニコーン』読解メモ”は、この第14章をもって間もなく終了となります。
 これまで解説されていた部分についての疑問、あるいは言及されていなかった箇所についての質問等がありましたら、どうかお知らせ下さい。総集編で補完したいと思います。その他リクエスト等ありましたらご遠慮なくお寄せ下さい。


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論文、“アンチ・ファンタシーというファンタシー2:ファンタシーにおける非在性のレトリック─『最後のユニコーン』のあり得ない比喩と想像不能の情景”を新規公開中

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