Archive for 13 November 2005

13 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 409


Moths and midges and other night insects too small to be anything in particular came and danced slowly around her bright horn, and this did not make her appear foolish, but them most wise and lovely as they celebrated her.

蛾や羽虫やその他あまりにも小さくて、ことさら名も与えられていないような夜の虫達が集まってきて、ユニコーンの輝く角の周囲をゆっくりと飛び回っていました。虫がたかっているからといって、ユニコーンがみっともなく見えるなんてことはなく、むしろ虫達がユニコーンを讃えて集まっているということによって、虫達の方がとても賢く、美しく見えていたのです。

 真実の存在の持つ特権である。ユニコーンの存在が虫達を美しく染めあげることはあっても、虫達の醜さがユニコーンの美と尊厳をわずかでも損なうことは決してない。なぜならば、真実でありオールドであること自体が、美と賢明さを成立させる条件となるからである。この因果関係のベクトルの向きが逆の側に方向を変えることはありえない。

用語メモ
 “foolish”(愚かな):現実世界に存在するいかなるものも、完璧な理想的様態からはどこか外れているので、時として“fooish”に見えることが避けられない。避け得ぬ現世的愚劣さの中で唯一永遠相の美や真実に連接するものは、“absurd”という感覚を通して感知されるのである。

お願い
 “『最後のユニコーン』読解メモ”は、この第14章をもって間もなく終了となります。
 これまで解説されていた部分についての疑問、あるいは言及されていなかった箇所についての質問等がありましたら、どうかお知らせ下さい。総集編で補完したいと思います。その他リクエスト等ありましたらご遠慮なくお寄せ下さい。


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論文、“アンチ・ファンタシーというファンタシー2:ファンタシーにおける非在性のレトリック─『最後のユニコーン』のあり得ない比喩と想像不能の情景”を新規公開中

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