Archive for 09 November 2005

09 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 405


Schmendrick dreamed that the unicorn came and stood by him at moonrise. The thin night wind lifted and spilled her mane, and the moon shone on the snowflake crafting of her small head. He knew it was a dream, but he was happy to see her.

シュメンドリックは夢の中で、ユニコーンが月の出と共に彼のもとにやって来たのを感じました。かすかな夜風が彼女のたてがみを持ち上げて、揺らしていました。月がユニコーンの小さな頭の上の雪のような毛の房を照らしていました。彼はこれが夢だと分かっていました。でも、ユニコーンに出会えてうれしかったのです。

 全てが終わって物語の主役のユニコーンと別れた後、眠りについたシュメンドリックの夢の中にユニコーンが訪れた際の記述である。魔法使いは、“夢”という次元において、より高次の真実を知覚し得ることを弁えているのである。そしてまた、ユニコーンとこの物語自体が、主観の中に束の間訪れた幻想に他ならないことをも知っている。意識は過去も未来も同等にその内部に含めて、ユニコーンが本来そうであったように、その深層部分では全てを記憶していても一向に差し支えないからである。

用語メモ
 dream(夢):夢はいつか現実とならなければならない。現実は束の間の夢に過ぎない。永遠相を観照する意識にとって、夢と現実が峻別されなければならない理由はいささかもない。



お願い
 “『最後のユニコーン』読解メモ”は、この第14章をもって間もなく終了となります。
 これまで解説されていた部分についての疑問、あるいは言及されていなかった箇所についての質問等がありましたら、どうかお知らせ下さい。総集編で補完したいと思います。その他リクエスト等ありましたらご遠慮なくお寄せ下さい。


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論文、“アンチ・ファンタシーというファンタシー2:ファンタシーにおける非在性のレトリック─『最後のユニコーン』のあり得ない比喩と想像不能の情景”を新規公開中


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