Archive for 11 December 2005

11 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 25


 "Whatever do you mean, Wendy?"
 "It is so naughty of him not to wipe his feet," Wendy said, sighing. She was a tidy child.
She explained in quite a matter-of-fact way that she thought Peter sometimes came to the nursery in the night and sat on the foot of her bed and played on his pipes to her. Unfortunately she never woke, so she didn't know how she knew, she just knew.
 "What nonsense you talk, precious. No one can get into the house without knocking."
 "I think he comes in by the window," she said.
 "My love, it is three floors up."
 "Were not the leaves at the foot of the window, mother?"
It was quite true; the leaves had been found very near the window.

 「それって、一体どういうことなの。ウェンディ。」
 「足をふいておかないなんて、ピーターはだらしないんだから。」ウェンディは溜息をついて言いました。この子はとても几帳面な子だったのです。
 ウェンディはごく当たり前とでもいった様子で、夜になると時々ピーターが子供部屋にやってきて、自分のために笛を吹いてくれたと思う、と話しました。残念なことにウェンディはその時、眼を覚ましませんでした。だからどうしてこんなことを自分が知っているのか、分かりませんでした。でも兎に角分かっていたのです。
 「なんて馬鹿なことを言ってるの。ドアをノックしもしないで、家の中に入れるものですか。」
 「ピーターはきっと、窓からやってきたんだわ。」
 「そんなこと。ここは3階なのよ。」
 「木の葉は窓の下に落ちていたんじゃない?お母さん。」
確かにその通りでした。木の葉は窓のすぐ近くに落ちていたのです。

 実はウェンディは眼を覚ますことなく、眠っていたから、ピーターのことが何よりもよく分かっていたのである。睡眠中の無意識の世界は、覚醒時の限界のある知覚と反して、無限の広がりと奥深さを暗示させるものである。覚醒と睡眠との間のこの図式は昼と夜、人間と妖精、本体と影、科学と魔法等にも同等に当てはめられる、一つの法則性として主張されることとなる。

用語メモ
 naughty:子供などが、親や管理者の言うことを聴かないこと。“腕白”、“利かん坊”、“悪い子”がノーティである。



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