Archive for 12 December 2005

12 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 26


 Mrs. Darling did not know what to think, for it all seemed so natural to Wendy that you could not dismiss it by saying she had been dreaming.
 "My child," the mother cried, "why did you not tell me of this before?"
 "I forgot," said Wendy lightly. She was in a hurry to get her breakfast.
 Oh, surely she must have been dreaming.
 But, on the other hand, there were the leaves. Mrs. Darling examined them very carefully; they were skeleton leaves, but she was sure they did not come from any tree that grew in England. She crawled about the floor, peering at it with a candle for marks of a strange foot. She rattled the poker up the chimney and tapped the walls. She let down a tape from the window to the pavement, and it was a sheer drop of thirty feet, without so much as a spout to climb up by.
 Certainly Wendy had been dreaming.

 ダーリング夫人には、どのように考えたらいいのやら、分かりませんでした。ウェンディには、「夢でも見ていたんでしょう」と言って片付けることができないのは、あまりにも明らかだったからです。
 「ね、ウェンディ。」お母さんは言いました。「どうしてもっと早くこのことを言ってくれなかったの。」
 「忘れてたの。」ウェンディは何事もなさそうに言いました。早く朝ご飯を食べようと、気が急いていたのです。
 確かに、ウェンディは夢を見ていたに違いありません。
 けれどもまた一方、木の葉があったのも確かなことです。ダーリング夫人は落ちていた木の葉をとても気をつけて調べてみました。みんな枯れ葉でしたが、イギリスに生えている木のうちで、心当たりのあるものはありませんでした。お母さんは床の上に手をついて、蝋燭をかざして侵入者の足跡を探しました。煙突に火掻き棒を突っ込んだり、壁を叩いたりして調べてみました。窓から道路までひもを垂らしてもみました。すると高さは30フィートもあり、登る時に手懸りになる雨樋のようなものも一つもありませんでした。
 やっぱり、ウエンディは夢を見ていたのに違いありません。

 ピーターの不可解で無気味な侵入者としての一面がはっきりと語られている。ピーター・パンという存在は、一般の市民社会にとっては異質な、そして不安と混乱をもたらす外来者なのである。

用語メモ
 skeleton:骸骨、あるいは木の葉の葉脈の部分である。網の目のようになった、筋ばかりの枯れ葉を思い浮かべればよいだろう。



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西館2階2ー2教室


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連絡先 047ー371ー1375
english@wayo.ac.jp




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