Archive for 02 December 2005

02 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 16


The gaiety of those romps! And gayest of all was Mrs. Darling, who would pirouette so wildly that all you could see of her was the kiss, and then if you had dashed at her you might have got it. There never was a simpler happier family until the coming of Peter Pan.

踊りまわるみんなの陽気さといったら!そしてその中でも一番活気に満ちているのがダーリング夫人でした。彼女はつま先立ってあまりに激しく回転するので、周りから見えるのは彼女のキスだけでした。その時に飛びつきさえすれば、彼女のキスを手に入れることができたかもしれません。ピーター・パンがやって来るまでは、他にこれほど幸せな一家はありませんでした。

 お母さんが踊ると余りに激しくくるくると回転するので、周囲の人に見えるのはお母さんのキスだけだという。この観念の遊びは、さらにお母さんのキスとPeterとの関係を通して増幅されていくことになる。
 ピーターの到来は、一家に不安とトラブルをもたらすものとされている。ロマン主義(ファンタシーの体現する思想)は、市民主義的な社会通念を転覆させることを企図するものである。ファンタシー文学は“破壊の文学”であるとされるように、ピーターは秩序の破壊者としての無気味な相貌を示すのである。

用語メモ
 pirouette:バレーの、つま先立ちで回転する技がピルエットである。スケートや馬術でも用いられる。




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