Archive for 03 December 2005

03 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 17


Mrs. Darling first heard of Peter when she was tidying up her children's minds. It is the nightly custom of every good mother after her children are asleep to rummage in their minds and put things straight for next morning, repacking into their proper places the many articles that have wandered during the day. If you could keep awake (but of course you can't) you would see your own mother doing this, and you would find it very interesting to watch her. It is quite like tidying up drawers. You would see her on her knees, I expect, lingering humorously over some of your contents, wondering where on earth you had picked this thing up, making discoveries sweet and not so sweet, pressing this to her cheek as if it were as nice as a kitten, and hurriedly stowing that out of sight. When you wake in the morning, the naughtiness and evil passions with which you went to bed have been folded up small and placed at the bottom of your mind and on the top, beautifully aired, are spread out your prettier thoughts, ready for you to put on.

ダーリング夫人が始めてピーターの名前を耳にしたのは、子供達の心の中を整頓している時でした。良いお母さんというのはみんな、毎晩子供達が眠りについた後彼等の心の中を手探りして、昼の間にさまよい出た様々なものをきちんともとの場所に戻して、翌朝すっきりと目覚められるようにしてくれるものなのです。もしもあなた方が眼を醒ましておくことができたならば、(でも勿論、それは無理なことなのですが)自分のお母さんも同じことをしてくれているのを見ることができます。それは丁度箪笥の整理をするようなものです。お母さんのその姿は、とても興味深いものです。たぶんお母さんは膝をついて、あなたの心の中身のある部分に心を惹かれて手を止めたりしているでしょう。一体どうしてこんなものを拾い上げてしまったのだろう、などとお母さんは思います。素敵な発見もあれば、あまり楽しくない発見もあります。あるものは子猫のようにいとおし気に頬に押し当てたりもしています。そして急いでまた、奥にしまい込んだりするのです。朝になってあなた方が目覚めてみると、お休みする前に溜め込んでしまっていた腕白な気持ちや乱れた思いなどはきれいにたたまれて心の底の方にしまい込まれ、一番上には気持ちよく風を通してすぐにでも身に付けられるように、一番素敵な気分が広げられているのです。

 子供達の心の中を、あたかも箪笥の中の衣類を整理するかのように、お母さんが整理してくれるのである。この種の観念遊戯はThe Little White Birdにおいて最初の発想が得られたものだったが、本作品においてはPeterの存在の秘密と人々が共通して持つ心の世界の仕組みと相関するものとして、さらに深化していくのである。

用語メモ
 air:シーツや衣服を戸外に干して乾燥させることを言う。日本ならさしずめ布団を干すような感じか。




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