Archive for 06 December 2005

06 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 20


Of all delectable islands the Neverland is the snuggest and most compact, not large and sprawly, you know, with tedious distances between one adventure and another, but nicely crammed. When you play at it by day with the chairs and table-cloth, it is not in the least alarming, but in the two minutes before you go to sleep it becomes very real. That is why there are night-lights.

幾多もある楽しい島のうちで、ネバー・ランドは一番心地よくすっきりとまとまった島です。冒険と冒険の間にうんざりするような間隔がある大きなだだっぴろい島なんかではなくて、楽しいことがきっちりと詰め込まれているのです。あなた方が昼の間、椅子やテーブル・クロスを使ってネバー・ランドごっこをして遊んでいる時は、ちっとも怖いところなんかありません。けれども床について眠りにつく2分程前になると、それは殆ど本物と変わらなくなるのです。だからベッドの脇にろうそくを灯さなければならないのです。

 ネバー・ランドは現象世界にあるような不条理な些末性から解放された、理想の世界であるとされている。しかしながら想像の世界として距離をおいて見た時の遊戯的世界の完結性も、主観の中で実体化した場合には現象世界と変わらぬ悪夢的相貌を見せ始めることになるのである。make-believeとrealityの間に潜む不可解なパラドクスに焦点を当てたところが、この作品の主題的立脚点となっているのである。

用語メモ
 play:“ネバー・ランドごっこ”の遊びのことである。“make-believe”という、この作品世界に導入されたもう一つの興味深い主題を導くことになる。




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