Archive for 07 December 2005

07 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 21


Occasionally in her travels through her children's minds Mrs. Darling found things she could not understand, and of these quite the most perplexing was the word Peter. She knew of no Peter, and yet he was here and there in John and Michael's minds, while Wendy's began to be scrawled all over with him. The name stood out in bolder letters than any of the other words, and as Mrs. Darling gazed she felt that it had an oddly cocky appearance.

時折子供達の心の中を旅する時、ダーリング夫人は訳の分からないものを見つけることがありました。その中でもとりわけ不思議だったのが、ピーターという言葉です。ダーリング夫人はピーターなんていう人は知りませんでした。けれどもこのピーターは、ジョンやマイケルの心の中のあちらこちらにいたのでした。その上ウェンディの心は、一面ピーターという名前であふれそうになっていました。この名前は他の言葉よりももっと太い字でくっきりと書きこまれていたのです。そしてダーリング夫人はこの名前をじっと見ているうちに、なんだかこれが妙に生意気そうな顔つきをしているような気がしたのです。

 ピーターという名前は、子供達の心の奥底に埋もれていたものなのである。実在的な外界としてではなく、意識の奥底の内界にあるものであるという点で、ピーターはネバー・ランドと相似した存在となっている。そしてダーリング夫人が「子供達の心の中を整理」することができるのは、彼女の心象世界と子供達の心象世界が奥のところでつながっているからこそ可能なのである。

用語メモ
 bolder letters:よりくっきりとした活字
 cocky appearance:妙に生意気そうな外見




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