Archive for 09 December 2005

09 December

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 23


 "Besides," she said to Wendy, "he would be grown up by this time."
 "Oh no, he isn't grown up," Wendy assured her confidently, "and he is just my size." She meant that he was her size in both mind and body; she didn't know how she knew, she just knew it.
 Mrs. Darling consulted Mr. Darling, but he smiled pooh-pooh. "Mark my words," he said, "it is some nonsense Nana has been putting into their heads; just the sort of idea a dog would have. Leave it alone, and it will blow over."
 But it would not blow over and soon the troublesome boy gave Mrs. Darling quite a shock.

 「それにね、」お母さんはウェンディに言いました。「ピーターはもう今では大きくなっているでしょうね。」
 「そんなことはないわ。ピーターは大きくなってなんかいない。」ウェンディは自信たっぷりに断言しました。「ピーターは丁度私と同じ大きさよ。」つまりウェンディの言いたかったのは、ピーターは背の高さも精神年齢も、ウエンディと同じだということです。どうしてそんなことが分かるのかは分からなかったけれど、とにかくウェンディには分かっていました。
 ダーリング夫人はダーリング氏に相談してみました。けれどもお父さんは馬鹿にしたように笑うばかりです。「いいかい。」お父さんは言いました。「それはナナがウェンディに吹き込んでいた、他愛の無い作りごとなんだ。犬の考えそうなことだ。放っておきなさい。すぐに忘れてしまうから。」
 けれども事はこれだけでは終わりませんでした。この厄介な少年はダーリング氏に大変な衝撃を与えることになったのです。

 Peterに関する知識と理解は、経験的なものではなく、先験的あるいは直感的なものとされる。そしてナナとピーターの存在は、ダーリング氏の思想的立場からすれば、実は同一の陣営に属するものなのである。

用語メモ
 grow up(成長する):普段よく日常的に用いられる言い回しであるが、厳密な定義のはっきりしない言葉である。筆者も年をとってくたびれた人や若いうちから頭のかたくなった人はしばしば見かけるが、“成長して”大人になった人は実は目にしたことはない。



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