Archive for 10 February 2005

10 February

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 133


"We don't rob the fat, greedy Mayor on the highway; we pay him tribute every month to leave us alone."

「俺たちは街道であの太った欲張りな市長を襲って強奪したりはしない。森にいるのを見逃してもらうために、あいつに毎月貢ぎ物をしているんだ。」

 引き続いて、カリーの手下の男が暴露する、山賊達の生活の実情である。詩の中で語られているはずの勇壮で陽気な暮らしぶりとは正反対に、実際の彼等の生活は欺瞞に満ちた、卑劣なものである。

用語メモ
 tribute(貢ぎ物):普通は支配者に差し出す税金のようなものを言うが、ここでは、お尋ね者が町の近くで隠れ住むのを見逃してもらう換わりに支払う、身代金のことになってしまっている。権力者を誘拐して身代金をとり、森の中で豪勢な暮らしをして“自由人”を標榜したロビン・フッドとは大違いである。


メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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