Archive for 14 February 2005

14 February

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 137


"Do as you will," he whispered to the magic. "Do as you will."
It sighed through him, beginning somewhere secret--

「お前の勝手にしてみろ。」シュメンドリックは魔法に対してささやきました。「好きにしてみろ。」すると魔法は彼の体を通して溜息をつきました。それはどこか自分でも分からない体の内側から出てきたように思えたのでした。

 魔法の力を操ろうとして思い通りにいかず、やけになって意志を放棄した途端、自分でもどことしれない自分自身の体の内側からその魔法の力がわき起こり、自らの意志で何か途轍も無いことを行おうとし始めるのである。『最後のユニコーン』において殊に強調されている魔法の原理である。

用語メモ
 魔法と魔法使い:シュメンドリック自身によって繰り返し語られているように、魔法使いは決して魔法の力を意のままに操るものではない。魔法使いは単なる魔法の受け皿であり、運び手に過ぎないとされるのである。そしてそのような存在として、シュメンドリックは魔法使いの存在意義を評価し、本物の魔法使いとなることを切望するのである。


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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