The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ　１４２

"Did you see me?" he asked the unicorn. "Were you watching, did you see what I made?"
"Yes," she answered. "It was true magic."

　「私の魔法を見ていましたか。」シュメンドリックはユニコーンに訪ねました。「私がどんな魔法を使ってみせたか、見ていましたか。」
　「見ていました。」ユニコーンは答えました。「あれは本当の魔法でした。」

　キーワード“magic”と最も深く関連すると思われる部分である。効果の成否とは別に、魔法にはその内実そのものの中に真実の魔法と偽りの魔法の双方があるらしい。先程伝説の英雄のロビン・フッドを呼び出して見せた魔法は、シュメンドリックの自負する通り、ユニコーンも本物の魔法であると認めるものであった。

用語メモ
　キーワード“true”：魔法だけに限らず、この物語の中では全ての事柄に関して真実と偽りの違いが厳然として存在するようである。ユニコーンという存在自身がその判定を下す役割を果たすものでもあり、また“真実”の具現化でもあるらしい。


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（論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー（１３）「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中）