Archive for 25 February 2005

25 February

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 148


His voice and eyes were as stern as he could make them, but he could feel his nose being bewildered.

シュメンドリックは声も、目も、この上なく厳しいものにすることができていました。けれども鼻がたじろいでいるのが自分でも分かっていました。

 ユニコーンの探求の旅に同行することを申し出るモリーに対して、厳しい態度で拒否するシュメンドリックであるが、思い通りの威圧的な態度を取ることに失敗していることを自覚している。“he could feel his nose being bewildered”の部分は、この作品でシュメンドリックが最初に登場した際になされていた描写、“a tall thin man with an air of resolute bewilderment”と正確に対応している。

用語メモ
 bewilderment:普通に日本語に訳せば、「当惑」あるいは「困惑」に相当する言葉である。魔法に関する知識も実際に持っており、物事の核心的理解に対する優れた感覚も備えている筈のシュメンドリックという人物が、何故か常に引きずっている特有の脆弱さが、この言葉を用いて表現されている。


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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