Archive for 05 February 2005

05 February

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 128


"I am nae scabbit, whatever that means,
And my greep is as well as a greep may be,..."

「いや、俺は決して元気なさそうでなんかない。お前がこの
言葉をどういう意味で使っているにせよ。
そして俺の悩みは、悩みとしては十分過ぎる程の悩みだ。」

 “おまえが "scabbit"という言葉をどういう意味で使っているのであろうと。”の部分は、まがいもののスコットランド訛りが使われていることを作中人物自身が意識して、訝しげに返答しているような口振りである。 "nae"は "not"の訛った形。
 俺のgreep(悩み=grief)は十分過ぎる程の悩みだ。”の部分は、英語ではよく見られる、強調の意で用いられた同等比較表現ではあるが、 "greep"という不自然な用いられ方をした語の怪しげな訛りを意識した、というおふざけの図式も伺われるように思える。

用語メモ
 同等比較による強調: "He was as dejected as can be." 「この上もないほど、気を落としていた。」などが典型的な用例。



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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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