Archive for 01 March 2005

01 March

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 152


White and secret, morning-horned, she regarded him with piercing gentleness, but he could not touch her.

白く、謎めいた姿で、朝もやの中で角を光らせて、ユニコーンは突き通すような優しさでシュメンドリックに目を向けました。けれどもシュメンドリックはユニコーンに触れることはできませんでした。

 モリーとのやりとりの中で、ユニコーンの存在がシュメンドリックにとっていっそう遠いものに感じられてしまう。“morning-horned”の部分は独特の詩的感覚で語られた新鮮な造語となっている。“piercing gentleness”の部分は典型的な撞着語法(oxymoron)である。共にキーワード“poetic phrases”に関連する。

用語メモ
 morning-horned:直訳すれば“朝の角をして”となるが、ユニコーンの存在そのものの最も印象的な部分である“角”と、清新な“朝”という言葉の印象をおおらかに連結した、新鮮な表現となっている。客観的な描写性を持たない、観念性の支配の勝った、極めて主観的な言葉の用い方がなされている例である。ビーグルは時として幼児的な程に素朴な言語表現を用いることが出来る。


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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