Archive for 18 April 2005

18 April

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 200


Yet without looking back, she knew that the Red Bull was gaining on her, coming like the moon, the sullen, swollen hunter's moon.

けれども振り返る必要もなく、ユニコーンはレッド・ブルがむっつりとして膨れ上がった狩人月のように迫ってくるのが分りました。

 圧倒的な力でユニコーンを追い立て、素早いユニコーンにさえもたやすく追い付くことのできる不可思議な妖獣レッド・ブルが、距離感と大きさの感覚の双方を失わせる無気味な月に喩えて語られている。莫大な体躯の大きさと共に、どこか実体感を欠いた印象がある奇妙な怪物が、全てのユニコーンを世界から駆逐してしまったという、このレッド・ブルなのである。

用語メモ
 狩猟月(hunter's moon):年に12度満月を迎える月の様相も、四季折々の自然と人々の生活の変化を反映して、それぞれ印象豊かな名前を付けられている。秋の作物の収穫を迎える頃の満月が収穫月(harvest moon)と呼ばれるのに対し、秋も深まって、木々も葉を落とし、冬ごもりのために身体の脂の乗った森の動物を狩る好機を迎えた頃の満月が、狩猟月(hunter's moon)である。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
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質問に対するお答え を新規公開

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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