Archive for 22 April 2005

22 April

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 204


With low, sad cry, she whirled and ran back the way she had come: back through the tattered fields and over the plain, toward King Haggard's castle, dark and hunched as ever. And the Red Bull went after her, following her fear.

低い、悲しげな叫び声をあげて、ユニコーンは身体の向きを変え、今来た道を引き返しました。引き裂かれた畑をまた戻り、草原を横切り、元のまま黒く背を丸めているハガード王の城の方へと行くのでした。そしてレッド・ブルは彼女の怯える心の後を付いて行くのでした。

 何故かユニコーンは、レッド・ブルに対して全く無力である。ユニコーンとレッド・ブルの間には、実際の戦いらしきものは行われることはない。一方の敗走が、もう一方の追走として語られているのである。

用語メモ
 恐怖(fear):恐怖とは、客観的な対象物としては存在し得ないものであるのかもしれない。主観の中に構築された一方的な怯えの感覚が敗走と追走という行動、あるいは関係を形作るのみであるのかもしれない。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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