Archive for 08 April 2005

08 April

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 190


“A clever magician might be acquainted with all manner of odd potions and powders, poppets and philters, herbs and banes and unguents. A clever magician--mind you, I said 'clever,' no more--a clever magician might be able, under the proper circumstances..."

「巧みな魔法使いならば、ありとあらゆる種類の珍しい薬品類のことをご存知のことでしょう。巧みな魔法使いであるならば、ある特有の状況の下では、たぶん気を利かして、--」

 シュメンドリックに対して、リア王子の暗殺の依頼を遠回しにほのめかすドリンである。状況を判断して、適切な毒薬を選んで殺害することを勧めている。“clever”は“賢い、高い能力を持った”と“はっきり言わなくても気を回すことができる”の両方の意味で用いられている。

用語メモ
 potions and powders, poppets and philters, herbs and banes and unguents:一見したところ、すべて薬品を暗示する言葉のように見えるが、実は“poppet”だけは“人形”を意味していて、毒薬の類いとは関係を持たない。頭韻の羅列に似せてどさくさ紛れに無関係の語を挿入した、作者によるペテン的記述の一つである。“philter”は視覚上は“P”を含むが、発音は“P”の音で始まる訳ではないので、頭韻も実は完成されていないのである。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を公開中)

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