Archive for 10 May 2005

10 May

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 222


"It would make no difference to you if I had changed you into a rhinoceros, which is where the whole silly myth got started. But in this guise you have some chance of reaching King Haggard and finding out what has become of your people. As a unicorn, you would only suffer their fateムunless you think you could defeat the Bull if you met him a second time."

「もしも僕があなたをサイの姿に変えていたとしても、あなたには何の違いも無いことでしょう。ユニコーンなんていう伝説がそもそも起こったのは、もとはと言えばこの動物からなのですが。けれどもこの乙女の姿でなら、ハガード王のところにたどり着き、他のユニコーン達に何が起こったのかを見つけだすこともできるのです。ユニコーンのままであったなら、あなたは他のユニコーン達と同様の運命に従うしかありません。次にレッド・ブルに出会った時、彼を打ち倒すことができると思うのでない限り。」

 ユニコーンの姿が人間の娘に変えられてしまったことに対して言い訳をする、シュメンドリックの言葉である。この魔法使いは、魔法を行使する技は未熟だが、魔法の意義と事象の生成・転変に対する総合的解釈に関する部分では、際立って優れた判断力を有している。

用語メモ
 “silly myth”:ユニコーン伝説のこと。Schmendrickは、ユニコーンがサイに関わる伝聞から派生した想像上の存在であることを知っていて、こう言っている。ユニコーンの存在をフィクションとして感知する、作品外の醒めた視点がここに暗示されている。キーワード“antifantasy”、及び“story”と関連する部分である。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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