Archive for 20 May 2005

20 May

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 232


Both men were clad in homemade mail--rings, bottlecaps, and links of chain sewn onto half-cured hides--and their faces were invisible behind rusted visors, but the second sentinel's voice and gait alike marked him as the elder.

どちらの歩哨も自家製の鎧を身に付けていました。半なめしの皮に鉄輪や瓶の蓋や鎖などを縫い付けてあるのでした。彼等の顔は錆び付いた面頬に隠れて見えませんでした。けれども二番目の歩哨の声と足取りは、どちらも彼が年長であることを示していました。

 ハガード王の城を警備している二人の歩哨の外見が描写されている。あまりにも卑近で、馬鹿らしい程に現実的でみすぼらしいその有り様は、ファンタシーの類型を見事に逸脱するものになっている。キーワード“antifantasy”と関連する、本作品独特の感覚である。同等の諧謔的描写は本作品の至るところに見られるものである。

用語メモ
 mail:“鎖帷子”式の鎧である。鋼鈑で全身を覆った“甲冑”(armor)より古い時代に用いられたものである。武器や防具のそれぞれの名称は、本来ならば用いられた時代や地方などを厳密に特定する条件となり得る。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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