Archive for 24 May 2005

24 May

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 236


"She has a newness," he said. "Everything is for the first time. See how she moves, how she walks, how she turns her head--all for the first time, the first time anyone has ever done these things. See how she draws her breath and lets it go again, as though no one else in the world knew that air was good. It is all for her. If I learned that she had been born this very morning, I would only be surprised that she was so old."

「あの娘には新鮮さがある。」年長の歩哨が言いました。「何もかもが、初めてという様子だ。あの身のこなしを見るがいい。あの足の進め方。あの首の傾げ方。どれをとっても、初めてその動作を行ったという風だ。他の誰もこんな動作をしたことがないという風だ。あの息のつき方を見ろ。世界のうちで、他の誰も空気がこんなにも良いものだとは知らないとでもいう様子だ。彼女のためにこそ、かぐわしい空気があるのだ。彼女が今日の朝に生まれたばかりだと聞かされても、儂は驚きはしないぞ。むしろもっと若いはずだと思うだろう。」

 一目でユニコーンの本質を見抜いている年長の方の歩哨である。彼の語る言葉は、反転してこのお話の独特のユニコーン像を定義付ける要素となるだろう。

用語メモ
 pristine:“清新”と訳されることが多い。世界にまだ堕落と汚濁が無かった頃の初々しい有り様を指す言葉である。ユニコーンが体現している感覚である。



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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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